コミュ障が生きていてはいけないのか?『最貧困女子』にみる貧困に陥りやすい女性の現実
大変な本を読んでしまいました。
生命が危ないレベルの貧困にあえぐ女性を丁寧にルポした鈴木大介氏のこちらの著書。
こちらでは主にセックスワーカーに焦点をあてて、その生活実態をインタビューしていますが、大変しんどい内容でした。
働く独身女性の2/3が年収114万未満
単純計算で月収95,000円、家賃を引いた残金が80,000以下なら貧困女性
正規就労でこの状態です。この本ではキャバクラや風俗にも行けない、出会い系や脱法風俗で働く”最”貧困女性の姿も描かれています。
なんといっても著者が語る「”最”貧困女性の特徴」が聞いていて胸が痛くなります。
・めんどくさい女ー全体的にコミュニケーション不全
・社会の知識が皆無ー社会システムや税金についての知識がない
・関係の構築ができないー少しの壁ですぐ全てを捨てて蒸発する
「病んでる」「こじらせ」「しょっぱい」「めんどくさい」と性格を揶揄する言葉は数知れず。人間誰しも性格に欠点はあるはず。でも性格の難が多ければ多いほど貧困になりやすいという実証のような気がして、薄ら寒くなります。
そんな彼女たちの対極にいる貧困でも困ってない層として登場するのが、マイルドヤンキーとよばれる地元密着型の若者です。
彼らの多くはキャバ嬢と事務員のダブルワークで働き、その容姿を保つ為かなり現実的な努力をしていたり、セーフティーネットとしての人脈という感覚があった上で友人付き合いしているようです。
ギャルにコミュニケーション能力が高い人が多いと言われていますが、マイルドヤンキーと共通するところがありそうですね。まぁヤンキーとギャルというくくりも雑すぎですが。
あと、マイルドヤンキーのコミュニティに入るためには
・彼らと共通体験がある=幼馴染か最低でも同級生?
・地方で暮らしている=コミュニティは地方に多いので地方住みが必須?
・文化を理解する必要が有る=音楽やファッションの傾向
と、なかなかハードルが高そうです。そもそも地方の友達と仲が良かったら都心の方に引っ越さないですよ。
似たような境遇の男性版ということで、こんな本もあります。
こちらは小説です。普通の高校生から徐々にレールを逸れ、繁華街で通り魔事件を起こすまで追い詰められた少年の半生が追体験できます。秋葉原事件がモデルなのかな?
そして彼も”最貧困女性”と同じような経緯を経て、殺人に至っているのがやりきれません。
コミュニティに所属できない=自分はコミュニティに所属しなくても生きていけるくらい強い!と開き直って生きていく道を切り開くのもまた必要ですが、現実的にお金がなかったら自分も守れません。
どっちかじゃない、両方ないのが本当に怖い。